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電話秘書のアルバイト

大学4年の秋だったと思う、なんとか就職内定をもらって単位もすべて取得し半年後の卒業を待つばかり。でもその前にいくつか誘いを受けている卒業旅行の費用を稼ぐため友人から紹介してもらったアルバイトが電話秘書だった。そこで請け負っていた主な仕事は、個人事業者の電話受信代行や通信販売の受注電話受信だった。その他にも色々あったようでしたがアルバイトの身分では個人情報の問題もあってやらせてもらえた仕事もその程度でした。

就職が決まっているということで電話の応対は基本から厳しめに叩き込んでもらえた。後々必要になるだろうからと。それ以前にも電話応対が必要なバイトはしたことがあったのでそんなに違わないだろうと思っていたが甘かった。プロは声の出し方から違った。それまでは普段の声より高い声で応対していたが逆だった。腹から出すように低めで落ち着いた声を求められた。更に言葉遣い。敬語は当り前、それ以上に相手を決して不快にさせない為の言葉選びが求められた。

テレビの通販番組を見て注文や問い合わせをしてくる人は驚く程色々な人がいる。自宅の郵便番号や電話の市外局番をしらないばかりか市外局番の存在を知らない年配の人もいた。諸々説明していると知らぬ間に段々語気が上がってくる。すぐに監督役の社員がやってきて注意を受ける。たかが電話秘書。されど電話秘書。相手の顔が見えない分細心の注意を払っての声の応対が求められる。まして電話の相手はお客のお客。この電話秘書のアルバイトでの経験は本当に役に立った。新卒で入った会社の先輩の電話応対が稚拙に感じるほどに。

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